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『てぃだかんかん』 舞台挨拶


(C) 『てぃだかんかん』製作委員会
『てぃだかんかん 
     〜海とサンゴと小さな奇跡〜』

ゲスト: 李闘士男監督、岡村隆史、松雪泰子

(2010・日本/120分)
監督 李闘士男
出演 岡村隆史 松雪泰子 吉沢悠 國村隼 長澤まさみ 渡部篤郎 原田美枝子

2010年4月24日(土)〜梅田ブルク7,なんばパークスシネマ、TOHOシネマズ二条、三宮シネフェニックス 他全国ロードショー
公式サイト⇒ http://tida.goo.ne.jp/
〜岡村隆史×松雪泰子が沖縄の海で奏でる愛と夢のピュアストーリー〜

 4月24日土曜日から公開の「てぃだかんかん〜海とサンゴと小さな奇跡〜」の試写会が9日・大阪市内で行われ、主人公の金城健司を演じたお笑いコンビ・ナインティナインの岡村隆史と彼の妻・由莉を演じた松雪泰子、監督の李闘士男が舞台挨拶に登壇。撮影秘話など映画について語った。

 本作は、沖縄の海で養殖サンゴの移植と産卵を世界で初めて成功させた男の実話を映画化した感動物語。主人公のモデルとなったのは、1998年に独学でサンゴ移植研究を始め、2007年に環境大臣賞・内閣総理大臣賞をダブル受賞した金城浩二さんとその妻・美佐江さん。映画ではふたりの10年に渡る波瀾万丈な軌跡と愛の絆を温かく描き切る。

 『無問題』以来、8年ぶりの映画主演となる岡村隆史は、開口一番に「どうも、ムービースターの岡村隆史です」とノリノリで観客を沸かせたあと「久しぶりに人間の役で、いつもと違う一面を見てもらえると思います」と挨拶。一方の松雪も「とっても心温まる感動のストーリーで、沖縄の海の現状を知ってもらえると思う」と話した。
 白のワンピースに7センチヒールを合わせた松雪は立ち姿もスラッとしていてとても美しい。小柄な岡村との身長差は、劇中よりも目立っており「撮影中は松雪さんと本当の夫婦のように愛し合えた」と語る岡村に対して会場のファンからクスクスと笑い声が。それを聞いた松雪は「岡村さんとなら可愛らしい夫婦になれると思っていた」と優しくフォローするなど相性はとてもいい様子。
 二人をキャスティングした理由について監督は「金城さんとお会いした時に、海の生き物について話すときの子供みたいな可愛らしさ、サンゴの養殖にかけるひたむきさ、お金に困りバッシングを受けたときの切なさ。“ひたむきで可愛くて切ない”と言ったら岡村さんしかいないと。松雪さんについては、実は、由莉ってすごく難しい役なんです。演技力はもちろん、透明感としっかりしている部分が両方ないといけない。あと、二人が並んだときのチャーミングさも必要だと思ったから、もう松雪さんしかいなかった」
 しかし、当の岡村は主役を引き受けたものの、きちんと芝居できるか不安いっぱいで、監督に初めて会ったとき正直に「僕、演技できません」と言ったのだとか。それを裏付けるように監督は「岡村さんは初日、表情が固まったまま2時間くらいフリーズしていた」と笑う。それに対して岡村は「初日がちょうど(漁業組合長役の)國村隼さんに怒鳴られるシーンだったのでセリフが全く出てこなくて。國村さんは怖い顔しているし、監督は頭抱えているしで、もうどうしたらいいか…」と極度の緊張を強いられたことを明かした。だが、その後「午後からは、コロッと顔つきが変わってさすがだなと思った」と監督は俳優・岡村隆史を絶賛する。
 その他に、撮影で一番の難関は“方言”だったと言い、松雪も沖縄弁の習得は大変だったと口にする。岡村に関しては一度だけ撮影中に、金城さん本人から「僕、そんな中国人みたいな喋り方してるかなぁ」と言われ、聞かないフリをしたのだとか(笑)
 本作のハイライトシーンとも言えるサンゴの産卵の場面について監督は「水中カメラマンに鬼のような注文を出して1ヶ月毎日潜ってもらいました。サンゴの産卵を見て、こうして海に命が広がっていくんだなと知ってもらえれば嬉しい。この映画は95%が事実で出来ている。こんないい話ないよと思ったらみなさんの心が曇っているということです(笑)劇中で松雪さんが岡村さんに送るメールの文面もそのままだし、岡村さんと子供たちの会話もそのままです」と熱く語った。
 そして最後に、一番見て欲しいシーンについて教えてもらった。松雪は「最後の方に由莉が健司を愛ゆえに叱るシーンがあるんですけど、そこを見て欲しいです」岡村は「崖から海に飛び込むシーンです。あの場面は、撮影の前日にスタッフがこんな感じですと飛び込んでくれたんですが、完全に足を痛めているんですよ(笑)本人は「大丈夫です」って言うんですけど、ほんまに大丈夫か?って聞いたら「岡村さんの時は満潮でやります」と。でも、実際はどうみても浅くて、急遽マットを用意してもらったんですが、上から見ると海面が光ってどこにマットがあるか分からない(笑)あの時は、一か八かで飛び降りました。その後に、子供たちと松雪さんとの感動の場面があるので、そこを見ていただきたいです」と語り舞台あいさつを締めくくった。

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『てぃだかんかん』 春名慶プロデューサー インタビュー
『てぃだかんかん〜海とサンゴと小さな奇跡〜』を手がけた春名慶プロデューサーへのインタビュー。

『世界の中心で、愛をさけぶ』『いま、会いにゆきます』『電車男』と数々の話題作を大ヒットへと導いてきた敏腕プロデューサーが、初のオリジナル作品となる本作についての魅力を語る。
―――本作は沖縄国際映画祭にも出品されていますね。沖縄の人たちの反応はいかがでした?
沖縄での上映が一般のお客様に初めて披露する場でした。現地での反応は、泣いている方もおられて、感触はよかったです。

―――金城さんの活動は沖縄では有名だったんですか?
他府県に比べると認知率は高いと思いますが、沖縄の誰もが知っているほど有名ではないそうです。新聞や沖縄のローカル番組で特集されたことがあるくらいで。
―――映画化を正式にお願いした時の金城さんの反応は?
映画でフューチャーされることについては、「サンゴを大切にする活動を多くの人に知ってもらえるのはとてもいいこと」だと話していました。でも、その反面でやっかみや批判も出てくるかもしれない。そこは覚悟してくださいねとお願いをしたら「大丈夫。自分には家族がいるから、家族さえいてくれたらいいさぁ」と。もう本当に岡村さん演じる金城健司そのままのキャラクターで、快く引き受けてもらえました。
金城夫妻を見ていると心が休まるんです。どうしても都会に住んでいると自分を他人と比べたり、羨ましく思ったりしますが、この夫婦は“絶対価値”しか信じません。例えば、劇中の最後のスピーチの場面で、「エコロジーなんてそんなに大したことじゃなくて、妻や子どもたちに、かつて自分が小さい時に見た沖縄の美しい海をもう一度見せてあげたいだけなんだ」と話す場面があるように、開発の是非を問う姿勢は微塵もないんです。なかにはそれを“でき過ぎた話”と受け取られる人もいるんですが、しょうがないんですよね。わざとそれを“でき過ぎていない話”にする方が難しい(笑)
―――金城さん夫婦の人生がすごく映画的なんですね。
そうなんです。普通、実話をベースにすると脚色をしてストーリーを盛り上げるんですが、この映画に関しては逆でした。そんなこと起きるの!?というエピソードがたくさんありすぎて逆に削ったくらいですから。開発業者から「サンゴをやめろ」と強迫電話がかかってくる場面も、実際はそんなものではなくて、すごく危険な目に遭ったりしたそうです。
本当はもっと切実なエピソードもたくさんあったのですが、でも、それを入れると今後の金城さんの活動に悪い影響を及ぼすかもしれない。それに、僕たちは凍て付いた社会派の映画を撮りたいわけでなく、チャーミングな夫婦のヒューマンドラマ、人のドラマをエンタテインメントとして作って行こうと言うのが発信点だったので、脚本作りには丁寧に取り組みました。

―――サンゴの産卵の場面が印象的ですが、撮影は大変でしたか?

サンゴの産卵って5月の終わりから6月の中旬にかけて散発的に始まるのです。「いつ」「どこで」という精密な予測ができないので、半分は勘に頼るしかない。長田さんという水中カメラマンの第一人者の方にお願いして、沖縄中の海に一ヶ月間張り付いてもらいました。それで撮れたのが映画に使われている3カットです。あれをCGだと言う方もおられるのですが、違いますよ!今までも、サンゴの卵が海中を揺らいでいる映像はあったけれど、ポコッと産まれる瞬間を撮影したのは今回が初めて。監督はそこにこだわっていました。それは、かつてのキレイな海に戻したいと願う主人公が、ゴールに向かって行く“第一歩”を象徴的に表現するものだったから。丹精込めて養殖して、移植したサンゴの最初のひとつが生命として海に還る瞬間を絶対撮りたいというのが監督のこだわりでした。


―――岡村さんの印象について教えてください。
岡村さんは、周りへの優しい配慮があるひと。そういう意味では、まとっている空気や時間の流れ方が金城さん本人と似ていると思います。

―――金城さんは出来上がった映画を見てどんな反応をしていましたか?
試写後に感想を聞いたら、奥さんに大変な思いをさせてきたんだなぁと反省していました(笑)あと、まともに直視できないとも言っていましたね。

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