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 ★ザ・ウォーカー (江口 由美)

(C) 2009 ALCON FILM FUND, LLC
『ザ・ウォーカー』 (THE BOOK OF ELI)
〜サバイバルな旅路の果てに辿りつく聖地を見よ!〜

(2010年 アメリカ 1時間58分)
監督:アルバート&アレン・ヒューズ
出演:デンゼル・ワシントン,ゲイリー・オールドマン,ミラ・クニス,レイ・スティーヴンソン,ジェニファー・ビールス,エヴァン・ジョーンズ,ジョー・ピング,フランシス・デ・ラ・トゥーア,トム・ウェイツ

2010年6月19日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開
公式サイト⇒ http://www.thewalker.jp/
 舞台は、戦争のため壊滅的な打撃を受けた近未来。世界にたった一つしかない本を西へ運ぶ謎めいた男と、彼に待ち受ける過酷な運命を描くサバイバルアクションが誕生した。

  朽ち果てた荒野を30年間一人で西に向かい続ける男、ウォーカー(デンゼル・ワシントン)は剣一つで一瞬のうちに相手を倒す腕前を持ち、誘惑に屈することなく絶対の使命を帯びている人間の強さを見せる。一方、ウォーカーの持つ本を狙う独裁者カーネギー(ゲイリー・オールドマン)は、文明崩壊後の世界を支配する欲に囚われた男だ。一冊の本を巡る二人の闘いから、人間の良心と邪心との葛藤に通じるものが垣間見える。
 少しずつ明かされていく謎と、危険に満ちた旅の果てには、“聖地”が待ち受けている。ヒューズ兄弟が作り上げた壮大な世紀末の世界観の中、寡黙な鉄人が人生を懸けて届けたもの、それは全てを失った人類に良心と希望を与える再生への原動力なのだ。
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 ★ザ・ウォーカー (河田 充規)

(C) 2009 ALCON FILM FUND, LLC
『ザ・ウォーカー』 (THE BOOK OF ELI)
〜人類の新たな歴史は“西”から始まる!〜

(2010年 アメリカ 1時間58分)
監督:アルバート&アレン・ヒューズ
出演:デンゼル・ワシントン,ゲイリー・オールドマン,ミラ・クニス,レイ・スティーヴンソン,ジェニファー・ビールス,エヴァン・ジョーンズ,ジョー・ピング,フランシス・デ・ラ・トゥーア,トム・ウェイツ

2010年6月19日より丸の内ピカデリーほか全国にて公開
公式サイト⇒ http://www.thewalker.jp/
 ウォーカー(旅する者)ことイーライは,ひたすら西に向かって歩き続ける。1冊の本を大切そうに持ち歩き,しょっちゅう読んでいる。しかも,この男は滅法強い。本を守るためには邪魔者を容赦なく斬り捨てる。それは,絶望に瀕した人々を導くものであると同時に,使い方によっては人々を支配する道具となり得るものだった。だから,それを欲しがる男もいる。カーネギーは,絶対的な権力を手に入れるため,その本を探し求めていた。

(C) 2010 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
 彼は,きれいな水を支配することにより,町の人々の上に君臨していた。だが,イーライが彼の町に来たことで,独裁者の地位から転落していく。怪我をした彼の足は悪臭を放ち始める。虐げてきた盲目の女性クローディアに逆襲される。カーネギーは,目が見えるからこそ本が読めず,目の見えないクローディアの前に屈服するしかない。物事は目で見ると歪んでしまう。だから,心で見なければならない。水も心も澄んでいないといけない。
 人類が営々と築き上げてきた文明は30年前に滅んだという。それにはイーライの本も関係していたようだ。人々は,終末後の世界を生きている。荒廃した近未来の映像は,モノクロームのようで色彩を失っている。人々の心も荒廃しているようだ。イーライでさえ,「人のために尽くせ」という教えを忘れている。襲われている人を助けようと思えば助けられた場面で,敢えて目を背けてしまう。如何に使命のためとはいえ,しっくりとしない。
  それにしても,イーライはいったい何者なのか。彼は,ストイックに歩き続ける。その姿は,時には崇高でさえある。彼は,ジャンヌ・ダルクのように神の啓示を聞いたのだろう。神に導かれるまま本を運んでいる。だからこそ,銃で撃たれてもなお歩き続ける。頭では理解できなくても,彼の心は“西”の世界に差し込む希望の光を感じていたに違いない。神によりリセットされた人類が再び歩み始めるためには,彼の運ぶ言葉が必要だった。
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