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 『猿の惑星 創世記ジェネシス』
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★猿の惑星 創世記ジェネシス (注)ネタバレあり!

(C) 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation
『猿の惑星 創世記ジェネシス』
(RISE OF THE PLANET OF THE APES )
〜“猿惑ワールド”、43年目の完結編〜

(2011年、アメリカ、1時間46分)
監督:ルパート・ワイアット
出演:ジェームズ・フランコ、フリーダ・ピント、アンディ・サーキス、
    ジョン・リスゴー

2011年10月7日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国ロードショー
公式サイト⇒ http://www.saruwaku.jp
 SFの名作として名高い「猿の惑星」(1968年)は、宇宙飛行中に着陸した惑星で、チャールトン・へストンが猿に散々な目に遭わされ逃げ回った挙げ句、海岸に半分埋まった「自由の女神像」を見てそこが地球であることを知るラストが衝撃的だった。同じ1968年、SF映画の金字塔「2001年宇宙の旅」(スタンリー・キューブリック監督)にも匹敵する。
 「猿の惑星」はその後、6年間で5部作まで作られ、第4作(1972年)で猿が重労働に反発して立ち上がり、最終第5作(1973年)では核戦争で地球滅亡後、生き残った猿と人間が復興のために協力、第1作にループする形で一度終わった。第1作から43年も経って第4作を作り直した“ビギニング”で完結なんて、アメリカ人は「スターウォーズ」シリーズ並みに猿惑ワールド”が好きなんだろう。ニューヨークの「自由の女神像」がどうして残骸になり果てたのか、説明がついて納得した。

 アルツハイマー治療薬として開発された薬をチンパンジーに投与したら、暴れて射殺される事態に。猿は妊娠していてその子シーザーは神経科学者ウィル(ジェームズ・フランコ)に引き取られ、抜群の知能を発揮していく…。

 本作の見せ場は人間以上に思索的な猿の表情と、チンパンジーが知能を獲得していくスリリングな過程。育ての親ウィルに甘え、信頼し、外敵には歯を剥き出して威嚇する、人間同様心の交流までするようになったシーザーは、もう人間まであと一歩。だが、隣人とトラブルを起こして「霊長類保護施設」に入れられてしまう。施設飼育員による陰湿な虐待が猿族の造反、ひいては“猿の惑星”誕生の原因につながっていく。

 二足歩行も出来る猿は、武器を手にし、横暴で無慈悲な飼育員の暴力に抵抗する。知能がひらめくように進化していく姿は、人類の進化の過程を目撃しているかのようでもある。
 突然変異的な進化は「2001年宇宙の旅」のオープニングだった。猿たちの集団が騒ぐ中、黒い壁「モノリス」が登場して獣の骨を武器にすることを覚えた猿が集団を制圧する。文明とか知恵は神の贈り物。「2001年 〜 」は進化した人類が木星への旅に出るが、「猿の惑星」では武器を手にした後、猿たちは人類に逆襲する。施設内で反逆に目覚めたシーザーが初めて「ノー」と叫ぶように声を発した時はぞっとする。文字通り立ち上がった猿たちは、橋を占拠し、銃を構えた警官隊にバスを盾ににじり寄る。とても賢い。圧政者への反抗というモチーフは「スパルタカス」(これもキューブリック監督)と同じ。猿も人間も抑圧への反抗という動物の心理は変わらない。
 第1作以来、「猿の惑星」シリーズのテーマは、人類の思い上がりへの警告。これこそが猿惑ワールドの真骨頂だった。空港の掲示板が「ニューヨーク行き」と表示され、猿たちは1968年版第1作へとループしていった。
(安永 五郎)ページトップへ
   
             
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