topへ
記者会見(過去)
旧作映画紹介
シネルフレバックナンバー プレゼント
  『プチ・ニコラ』
  作品紹介
新作映画
★プチ・ニコラ

(C) 2009 Fidelite Films - IMAV Editions - Wild Bunch - M6 Films - Mandarin Films - Scope Pictures - Fidelite Studios
『プチ・ニコラ』(Le Petit Nicolas)
〜ニコラと愉快な仲間と一緒に遊ぼう♪〜

(2009年 フランス 1時間31分)
監督・脚本:ローラン・ティラール(『モリエール 恋こそ喜劇』)
脚本:グレゴワール・ヴィニュロン(『モリエール 恋こそ喜劇』)
出演:マキシム・ゴダール、ヴァレリー・ルメルシエ(『モンテーニュ通りのカフェ』)、ガド・メラッド(『コーラス』『幸せはシャンソニア劇場から』)、サンドリーヌ・キベルラン、ルイーズ・ブルグワン

2010年10月9日(土)〜恵比寿ガーデンシネマ、梅田ガーデンシネマ、他全国順次公開
秋〜京都シネマ、シネ・リーブル神戸 にて公開
公式サイト⇒  http://www.petitnicolas.jp/index_pn.html
 「プチ・ニコラ」ってご存じですか? 親しみやすさで言えば『サザエさん』、小さな男の子が繰り広げる騒動で言えば『クレヨンしんちゃん』といった感じのフランスの国民的人気コミックのキャラクターの名前です。1959年から1965年まで新聞に掲載されて大人気を博した「プチ・ニコラ」は、2004年に未発表の作品が単行本として出版されるやいなや、再び「プチ・ニコラ」ブームに火が付く。「プチ・ニコラ」誕生50周年にあたる2009年には、展覧会が開催されたり、映画が公開されたり、さらにはTVアニメ・シリーズもスタートするという過熱ぶり。「プチ・ニコラ」の魅力をギュッと凝縮したような映画に、初めての人もニコラに魅了されるに違いない!
  移民問題も失業もテロも何も心配のなかった時代のパリ。ニコラは優しい両親に愛され、学校では楽しい友達に囲まれ、毎日を幸せいっぱいに過ごしていた。ある日、友達のひとりに弟ができて彼がひどく落ち込んでいるのを見て、自分にも弟が生まれたら両親の愛情は離れ『親指物語』のように森の中に捨てられる、と急に心配になる。そこで、母親に愛されようとお手伝いをするのだが、ことごとく失敗ばかり。そこで、生まれてくる赤ちゃんをギャングに誘拐してもらおうと画策するニコラだったが……。
 1960年前後のパリが舞台。誰もが豊かで安定した生活を求めていた頃のお話で、家電製品やインテリア、ファッションに至るまで、当時のニューモードがカラフルな映像で再現されている。パパの昇給のため社長夫妻を夕食に招待するシーンが特に面白い。当時御馳走の定番だったオマールエビを使ったメインディッシュに、インテリと思われたくて文学や哲学について知ったかぶりしたり、シンプルなワンピースに宝石を使ったアクセサリーをわざわざ新調したり、背伸びライフを笑いにする辺りは『サザエさん』でもよくあるエピソードだ。
 また、ニコラとその友人たちが繰り広げる子供らしい勘違いから起こる騒動は、彼らが本気モードだからこそ、最後までハラハラして目が放せない。パパもママも友達も学校の先生も大好きなニコラだが、想像力豊かで天真爛漫でいたずら好き。彼の思い付きにみんなが振り回されるが、なぜか憎めない。みんなを楽しませるのが大好き!というニコラの優しさとキュートさは、私達にも幸せを運んでくれるようだ。ニコラ役のマキシム・ゴダールをはじめ、個性的な子役たちを配したキャスティングは、作品の密度を高めている。
 ついでに、ニコラのトレードマークの白シャツに赤いベストに青のネクタイとショートパンツは、フランスの国旗の色と同じだ。自由・平等・博愛の精神は「プチ・ニコラ」の底流にもあるようだ。今から思えば古き良き時代であった1960年代初め頃を、緻密なリサーチに基づいたカラフルな美術やファッションで再現させているところは見事。お疲れ気味のあなた、『プチ・ニコラ』ワールドで遊んでみませんか?
(河田 真喜子)ページトップへ
   
             
HOME /ご利用に当たって