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★メアリー&マックス

(C) 2008 Screen Australia, SBS, Melodrama Pictures Pty Limited, and Film Victoria
『メアリー&マックス』(原題:Mary & Max)
〜人種も年齢も超えた二人の文通を綴る、
                  感動のクレイアニメ〜

(2008年 オーストラリア 1時間34分)
監督:アダム・エリオット
声の出演:トニ・コレット、フィリップ・シーモア・ホフマン、
       エリック・バナ、バリー・ハンフリーズ他
2011年4月23日(土)〜新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋、
6月4日(土)〜シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸、T・ジョイ京都ほか全国順次ロードショー
公式サイト⇒  http://maryandmax-movie.com/
 手作業でコマ撮りを積み重ねていくクレイアニメーション。その独特な質感に魅了される人も多いだろう。この『メアリー&マックス』は、『ハーヴィー・クランベット』で2004年アカデミー賞短編アニメーション部門を受賞したアダム・エリオット監督初の長編作品であり、監督自身の体験を元にした“絆”の物語だ。クレイアニメーションならではのユニークなキャラクター造詣とともに、くすっと笑えて、実は奥深いそのストーリーをぜひ味わってほしい。
 メアリー(トニー・コレット)は、オーストラリアのメルボルンに住む8歳の女の子。本当の友達がいなくて寂しいメアリーは、アメリカに住む“誰かさん”に手紙を送ることを思いつく。アメリカのニューヨークに住む44歳のマックス(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、肥満症の上、他人とうまくかかわりを持つことができず、孤独な日々を送っていた。ある日、メアリーという名の少女からチョコレート入りの手紙をもらう。こうして、国籍も年齢も違う二人の文通は始まったのだが・・・。
 クレイアニメーションのかわいらしいイメージとは裏腹の「ブサカワ」なメアリーをはじめ、年中カーラーを巻きシェリー酒を飲み続けるメアリーの母や鳥の剥製を作るのが趣味のメアリーの父、さらにはニューヨークのマックスや彼のご近所さんまで、彼らが生きてきた日々が一目でわかるような独特のキャラクターづくりに目を奪われる。ちょっとブラックなユーモアを散りばめながら、メアリーとマックスが文通を重ねながら過ごしていく20年もの年月が2つの国を舞台に展開する。人生で初めてかけがえのない友達を得られた喜びに彩られるときもあれば、自分の傲慢さが友情を傷つけてしまう場面も躊躇なく描かれていて、きれいごとの文通物語では終わらない作り手の意思が感じられるだろう。

 二人が超えているのは年齢や国籍だけではない。マックスはアスペルガー症候群を患っており、メアリーからもらった手紙ですら、時には刺激が強すぎて体調に異変をきたしてしまう。だが手紙を書くことでそんな自分と向かい合い、自分の本当の姿を相手に伝えるマックスの姿はとても力強かった。他人を理解するということは簡単ではないが、手紙が来る日を心待ちにしながら、相手のことを思いやる時間の尊さが作品を通して流れており、観終わって優しい気持ちになれることだろう。
(江口 由美)ページトップへ
   
             
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