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『ハングリー・ラビット』
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ハングリー・ラビット
『ハングリー・ラビット』 (SEEKING JUSTICE)
〜ユニークな代理リベンジ・サスペンスの変形作〜

(2011年製作 アメリカ 1時間46分)
監督:ロジャー・ドナルドソン
出演:ニコラス・ケイジ、ガイ・ピアース、ジャニュアリー・ジョーンズ、ハロルド・ペリノー
(C) 2011 HRJ DISTRIBUTION, LLC

2012年6月16日(土)〜新宿バルト9、大阪ステーションシティシネマ、T・ジョイ京都ほかにて全国ロードショー。
公式サイト⇒ http://www.hungry-rabbit.com

 最近のハリウッド映画では,非常に珍しいオリジナル脚本である。しかも、ハードルの高いサスペンス映画だ。それをニコラス・ケイジとガイ・ピアースという、多彩なサスペンス映画に出ている2人を主演・助演にして、サスペンス演出にも冴えを見せるロジャー・ドナルドソン監督がメガホンを執った。なぜ、みんなはこの脚本に魅せられたのだろうか。
 多種多彩にハラハラドキドキを伝えてきてくれた、これまでのサスペンス映画にはないところが、実は本作には3点ばかりあった。@正義の始末屋の登場Aヒッチコック監督系サスペンスの裏返し的応用B同じくリベンジ系映画の新規逆パターン…といったところだが、ともすると、それらは誇大妄想的なものになりかねないのだが、それらがスムーズに、ドラマの流れに溶け込んでいたので驚いた。一つずつ解説していくと…。
@ニコラス・ケイジの妻がひどい目に遭い、その犯人を世直しのために始末する、ガイ・ピアースが長となるチームがいる。言ってみれば、現代の必殺仕置き人といった感じだが、このチームが正義から悪へと転移していく流れが謎めきを作っていく。仕置き人たちが悪になるのは面白い。
Aヒッチコック・サスペンスの特長の1つとして、間違えられた男が見知らぬ者たちに追われて、あたふたしていくタイプがある。そして敵と対決する。本作では、そのパターンがこれまでにない設定で披露されている。単純に言ってみれば、愉快な思いをした男がその見返りに、いろんな危ないことをやらされる中で起こってくる摩擦とでも言うか。正義という名の犯罪組織と警察から逃亡する中で、推理し応戦していく『逃亡者』(1993年作)的スタイルはそれなりにあるが、本作はそこがメインにはない。
B妻の代理リベンジが、思わぬ方向へと転がっていくのだが、こういう流れはあまりないだろう。リベンジ系映画の変形バージョンだといえる。さて、トータルとしてはどうなのだろうか。よくある幻覚系の『ビューティフル・マインド』(2001年)でも設定系『トゥルーマン・ショー』(1998年)でもないところに魅力はあるけれど、見る人によっては結末部を含めて、好みの分かれる映画かもしれない。でも、え? って終わる映画も、たまにはいいのでは? いかがなもんでしょうか。

(宮城 正樹) ページトップへ

   
             
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