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新作映画
★ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人

(C)2008 Fine Line Media, Inc. All Rights Reserved.
『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』
(原題:HERB & DOROTHY)
〜アートが全て !
      コツコツ夫妻の心豊かなコレクター人生〜

(2008年 アメリカ 1時間27分)
監督:佐々木芽生
出演:ハーバート・ヴォーゲル、ドロシー・ヴォーゲル他
出演アーティスト:クリスト&ジャンヌ=クロード、チャック・クロス、ロバート・マンゴールド他

2010年11月13日〜渋谷シアターイメージフォーラム、12月〜梅田ガーデンシネマ、2011年1月〜シネリーブル神戸、2月〜京都シネマほか順次公開
・佐々木芽生監督⇒こちら
・公式サイト⇒
http://www.herbanddorothy.com/jp/
 一目見て、「なんて素敵な夫婦なんだろう!」と思った。コツコツ働いたお金で、大好きなアートを買い続け、アートに囲まれた生活を過ごすうちに、1LDKの小さな部屋が2500点ものアートの蔵庫となり、ついにはナショナルギャラリーに全て寄贈したというハーブ&ドロシー夫妻。これだけ聞けばマジカルな話だが、本作を見るうちにコツコツとした積み重ねのなせる技であることを知るだろう。そして、「誰よりもアートを愛した夫婦」の軌跡がなんとも微笑ましい。
 夫婦の歴史を時系列で追いながら、ハーブ&ドロシー夫妻がコレクションしている様々なアーティストとのやりとりや、アーティストへのインタビューで構成されている本作。冒頭から二人が購入した様々な現代アートが登場し、アートギャラリーにいるかのような豊かな気分になる。二人がアーティストと話すことは、製作中の作品への意見から、次の作品のことまで幅広い。また、アーティストたちは口ぐちに「ハーブ&ドロシーが他のコレクターと違うのは、過去の全作品を見ようとすることだ。」と語っているのが印象的だ。作品だけではなくアーティスト自身を理解しようとする二人の姿勢が、アーティストとコレクターという関係を越えた信頼関係を生んでいる。ハーブ&ドロシー夫妻は、アーティストたちを精神面、金銭面で支える得難いコレクターなのだ。
 特別裕福ではない二人がこれだけのコレクションを築く過程はいたってシンプル。自分たちの給料の中から、コレクションに使うお金をしっかり決め、部屋に入る大きさのものに絞る。シンプルなことを、それだけに集中してコツコツと続けてきたハーブ&ドロシー夫妻は決してブレたり、方針を変えることはない。作品を選ぶときの鋭い視線といい、作品の置き方一つにもこだわる姿勢といい、アートの達人ならではの眼力の凄さを感じる一方で、アートに対する並々ならぬ愛情をヒシヒシと感じることだろう。
 ハーブ&ドロシー夫妻の自宅のシーンも度々登場し、アートに囲まれた二人の穏やかな笑顔や夫婦の会話、喧嘩などが映し出される。彼らにとっての幸せはまさに日々そこにあるのだ。お金よりもアートという彼らの価値観は、彼らのコレクションをふんだんに取り入れた本作を見ればその気持ちがほんの少しでも分かる気がする。アーティストと人々を結ぶ架け橋となる、彼らが美術館に寄贈した『ヴォーゲルコレクション』を巡る第二章にも是非注目したい。
(江口 由美)ページトップへ
   
             
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