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 ペントハウス

(C) Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED
『ペントハウス』 (Tower Heist)
〜ゴールドに輝いて欲しいのは,人々の心〜

(2011年 アメリカ 1時間44分)
監督:ブレット・ラトナー
出演:ベン・スティラー,エディ・マーフィ,ケイシー・アフレック,
    アラン・アルダ,マシュー・ブロデリック,ティア・レオーニ,
    マイケル・ペーニャ,ガボレイ・シディベ

2012年2月3日(金)〜TOHOシネマズ有楽座、TOHOシネマズ(梅田、二条、西宮OS) ほか全国ロードショー
公式サイト⇒ http://penthouse-movie.com/
 マンハッタンにそびえ立つ高級マンションを舞台として,素人チームによる人生を賭けた財産奪還作戦が展開する。そこでは,大富豪が悠々自適の生活を送っていた。その快適な居住空間を支えていたのは,マネージャーのジョシュを始めとする従業員たちだった。ジョシュの居住者への目配りは舌を巻くほど行き届いている。そのテキパキとした仕事ぶりから割と実直な人物像が見えてくる。その結果,後の展開が説得力のあるものとなった。

 マンションの居住者の一人ショウが証券詐欺で逮捕される。しかも,彼は,ジョシュから従業員全員の年金資金の運用を任され,それを私的に流用していた。ショウは,保釈されるが,全く悪びれることなく,かえって投資には失敗もあると開き直る始末だ。ジョシュは,ぶち切れ,ショウがものすご〜く大切にして部屋に飾っていた“スティーヴ・マックイーンの真っ赤なフェラーリ”を傷付け,仕事まで失ってしまう。それが始まりだった。

 ヤマは,ジョシュの編成したメンバーが協力し合ってショウの部屋に隠されている財産を盗み出そうとする場面だ。マンションのすぐ近くでは,2011年で85回目になるという老舗百貨店メイシーズの感謝祭パレードが行われていた。その人混みのほか,エレベーターや窓拭き用のゴンドラを上手く利用して,スリルを盛り上げる。しかも,マンションの屋上プールは,ただ泳ぐためだけにあるのではなかった。茶目っ気のある発想が利いている。

 アメリカ社会では貧困層が増え,ごく少数の富裕層との格差が開いているという。本作は,真面目に働きながら慎ましい生活を営む庶民が自分たちを蔑ろにする大富豪に逆襲するというもので,痛快さがある。だが,ここで描かれるのは,自分の力で財産を取り戻すという自力救済である。そこには報復の発想が含まれており,手放しで賞賛できるものではない。とはいえ,この点も含めてアメリカ社会の現状が反映されているのかも知れない。
(河田 充規)ページトップへ
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