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 キツツキと雨

(C) 2011「キツツキと雨」製作委員会
『キツツキと雨』
〜無骨な木こりと自信のない新人映画監督が織りなすハートフルコメディー〜

(2011年 日本 2時間9分)
監督:沖田修一
出演:役所広司、小栗旬、古舘寛治、嶋田久作、山崎努他

2012年2月11日〜角川シネマ新宿、大阪ステーションシティシネマ、なんばパークスシネマ、神戸国際松竹、MOVIX京都他全国ロードショー
公式サイト⇒http://kitsutsuki-rain.jp/
第24回東京国際映画祭審査員特別賞受賞作
 『南極料理人』沖田修一監督の最新作は、小さな笑いが積み重なって、あれよあれよと笑いと感動の渦にのまれていくことだろう。人間観察の妙に加え、不器用な二人が少しずつ距離を縮めていく様子や、映画ド素人の木こりが撮影現場で映画づくりにのめりこみ体験をする様子など、ユーモアも共感度も大のハートフルコメディーの誕生だ。
 ベテラン木こりの克彦(役所広司)は、山にやってきたゾンビ映画の撮影隊をひょんなことから手伝うことになる。一番立場が弱そうに見えて実は監督の幸一(小栗旬)を「使えない若者」と非難しながらも、撮影現場での手伝いを通じて少しずつ心を通わせていく克彦は、ついにゾンビ役で初映画出演も果たすのだが・・・。
 無骨な木こりの克彦と、初監督で言いたいこともいえずストレス追い込まれていく幸一。ついガミガミ口を出してしまい、家を出ていった息子と同世代の幸一の世話をやく克彦の様子がなんとも微笑ましい。温泉で裸のつきあいの二人が、一度目は克彦から、二度目は幸一からすり寄っていくあたりの描写も心憎いのだ。役所広司が、頼まれるとイヤとは言えずどんどん映画作りにのめり込む克彦を熱演。まじめな可笑しさが随所に盛り込まれている。一方、自身も監督経験のある小栗旬演じる幸一の自信なさそうな姿がとてもリアルで監督業の重圧がじわりと伝わってくる。
 手さぐりの映画づくりも、克彦の声掛けで地元のボランティアやエキストラが集まり、笑いのボルテージがどんどん上がってくる。ゾンビエキストラだらけの村の珍風景をはじめ、地元を巻き込んでの映画づくりが大きなエネルギーを発することをユーモアを交えて表現。撮影が進むにつれ、幸一が監督として成長していき、現場がクランクアップに向けて一体となっていく様子はなんとも爽快だ。
 映画づくりも奇跡の結晶ならば、二人の出会いがそれぞれに小さな奇跡をもたらしたことも、大きな結晶となってじんわり胸に沁みてくる。男やもめ克彦の暮らしぶりの小さなエピソードにも笑いがこみあげるなんとも愛おしい作品。映画っていいなと心から思えるだろう。

(江口 由美) ページトップへ

(C) 2011「キツツキと雨」製作委員会
   
             
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